21:58

入学して初めての夏休みを思い出した。サークルで初めて遠くに行って、夏という夏を、青春という青春を味わった。BBQに川遊び、車での移動。花火。夜更かし、人狼ゲーム。友人の誕生日サプライズ。どこを取っても完璧だった。あの夏が、最高で1番繰り返したくなる夏なのだと思う。きっと歳を重ねても、何度も思い出して。眩しくて仕方ない、日だった。終わってほしくないとあの時みんなと駐車場でさよならする時、思ったのが間違いでは無かったと思った。今でも、最高の夏だと確信できる。

学校に朝早く集まって、前日に準備したリュックを背負って同級生や、続々と集まる先輩たちを見て。ああ、これから3日間一緒に居られるんだ、と思った。それからクジを引いて、車に乗るメンバーを決めた。同級生の子と一緒になって後部座席で先輩たちが運転してくれる車で道の駅まで行った。そこで透明なコーラを誰かが買った物を一口貰ったけれど、コーラが苦手だったから、ありがとう、と先輩に返した気がする。既に遠くまで来ていて、周りの景色は緑いっぱいだった。その後は、メンバーチェンジで同級生とまた一緒になって旅館まで車で走ってもらったようなそんな気がする。途中、田園風景やあまりの、日常から離れた光景に写真を撮りたいと何度も口にしていた。まだ、ほとんど喋ってない先輩も車にいて何時間かずっと同じ車だから自然と仲良くなって旅館に着く頃には、話が止まらなくなっていた。

旅館に着くと、電波が通じなくなっていて。凄くカルチャーショックではないけれど、驚いた。旅館に着いてからBBQまでの間1時間ほど休憩時間があったからやる事が無くて(部屋で同級生と喋るとかもあったけど)、旅館を飛び出して周りを探索していた。ハスの花がちょうど咲ききってしまった後で、少し見栄えが悪くなっていたのに少しだけがっかりした記憶がある。そのかわり、田んぼを覗き込むと、ザリガニやカエルが沢山いて、周囲からはヒグラシの鳴き声が響き渡ってとても満足した。同級生男子にはここで始めて会うことになったのだけれど、色んなものを写真に収めていた時にあったため、近所のおばちゃんかと思った。と暴言から始まった。酷いこというなー、なんて言いながらそれにもかかわらずに写真撮っていたっけ。

その後は、学年ごとに分かれてBBQの席に着いた。先輩たちは酒が入っていつもより幾分か賑やかで。みんな仲が良かった。この時の空気が本当に好きだった。日も暮れて、風呂に入ってから大部屋に全員で集まって。人狼ゲームをした。大人数すぎだし一年の私にとって先輩の名前が分からないし、ルールもあやふやだったけど楽しかった。お酒が入って陽気になった先輩たちを見ているだけでも楽しくて、楽しくて。

次の日、川に行くっていうのに夜更かしして顔が少し死んだみんなで川遊びしたのも良い思い出だ。川はとても澄んでいて、サークルの人以外誰も来ないような山奥で遊んだ。しがらみが何もない時代で、何も考えずに全力で純粋に100%楽しめた。多分、サークルが大好きになったきっかけだ。こんなステキな事あっていいのだろうかなんて考えていた。その日の夜は、花火をした。凄く記憶に残っている。例の先輩と喋った。なんか、夏の記憶で何度も何度もこうやって思い出すことになるとは思わなかったけれど。花火は、好きだけど。夏も好きだけど。少し苦い煙の香りを思い出す。何食わぬ顔で友人とそれから話して。そして少し泣きそうだった。今もまだ少し苦い。

次の日の朝は、博物館に行った。私はオールして前日同様に人狼ゲームをしていた。大人数だったから2回回しただけで朝日が昇った。車に乗って、また移動。よく、寝た。今日は最終日か。これから夏休みが始まるっていうのに、もう夏が終わる顔をしてるみたいだって思っていた。クーラーのよくきいた博物館に友人と一緒に回って、疲れていたせいか、みんな椅子に座って寝ていたりぼーっとしていた。ちょうどポケモンGOが流行っていて、美術館内をポケモンGOしている人もいた。帰りの車は眠気との戦いで、でもサークルの人と居られる時間を一分一秒大切にしたくて頑張って起きていた。ただ口は動いてるけど途中で眠気が来て気分が何を話しているか分からなくなったりしていた。よく先輩たち付き合ってくれていたな、と思う。ありがたい。学校に着いた頃には既に、夜で遠くに立っている街灯が月に見えるぐらい煌々と輝いていたのを覚えている。その日の月も満月に近くて外がとても明るかった。みんなとレンタカーだったから、駐車場で駄弁っていたから、遠くまで行った事が嘘みたいで、でも、背中に背負っているリュックは本当で、疲れも本当で楽しい3日間が終わったんだなと思った。

みんなが解散して行く中、誰かに送ってもらった。最後まで残りたかったな、なんて思いながら家に着いた途端、眠りこけて次の日の昼ごろ目を覚まして凄く、凄く寂しかった。人とずっと過ごしていたからこそ、1人の時間が倍以上寂しく感じた。こんな夏だった。