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(つづき)

お家は四方八方山に囲まれていて、近所の人が全員顔を知っているような地域だった。the田舎という感じで旅行した気分だった。実際、プチ旅行だった。中からお母さまが野菜を切って準備して頂いてくれていたり、手作り五平餅をいただいたり。大きめのガレージの前でBBQを散々楽しんだ。そのあとは近くの山に車で登って、その車割は行きとは違う人の車で。少し寂れた空き地で、ロケット花火をした。怖くて投げた。トノサマバッタが大量発生する少し湿気った芝生の上でやったお陰で、不発弾もありスリル満点状態だった。大学生だな、と思った。寂れた空き地にはかつて使っていたであろう、音楽ステージがあり、そこで後輩くんはウクレレを弾いていた。私たち女子組はなぜかモデルウォークの話になり最期のキメポーズが後輩ちゃん2人独創的過ぎていつまでも笑っていた。

どんどん日が暮れて、オレンジ色に染まる空き地とみんなの顔をみて久しぶりにこの時間がいつまでも続いて欲しいと思える時間だったと感じた。山を降りる頃にはあたりは真っ暗で、暗闇のなか急なカーブの連続を車で降りていった。BGMはサマーウォーズの「僕らの夏の夢」。本当に一瞬で過ぎ去るような日で眩しい、本当に私は心の底から好きな日になった。山から降りて、ガレージに戻ると夏と秋のなんとも言えないあの少しの肌寒さと、水の音、鈴虫の声がした。イケメン後輩ちゃんの1人がずっとキックボード気に入って昼の時から乗っていて、少し帰ってこなくなったのを心配になって見に行ったら星を見ていた。私も隣に座って、星を見上げた。最初は雲ばかりだったのが次第に晴れて満天の星空が眼中に広がった。汚いとか、そういうのを全部無視して後輩ちゃんと道路に寝転がったらとんでもなく綺麗な空でいつまでも眺めていられる、そんな景色だった。街の明かりなんてなく病院も30分車で行かなければならない、そんな場所で見る星は間違いなく美しかった。そこで、私は後輩ちゃんに告げた。あの先輩とはもうこれっきりにするよ、と。会わないから冷めたたのか、という意訳すればそんな質問に私は、会ったらまたさらに絶対好きになるしむしろ写真、動画を見たら後戻り出来なくなるほど好きだけど。しつこいのは一番ダメだってことを身をもって経験してるから、もうやめるよ、と話した。自分でも、納得やっとして来たところがあるからもう、好きだけど、やめようと。自然にそう思えた。

寂しそうな返事が聞こえた。後輩ちゃんがなんて言ってくれたかあまり記憶がない。けど、なんとも言えない複雑な感じだった。月は綺麗な半月で、今日だったら諦められると思った。

そうこうしているうちに、今回のホストの後輩くんもやってきてその後輩くんが慕ってやまない先輩も一緒に星を見に来た。4人で寝転がって、星を見た。もう二度とない経験だろうと思った。きっと思い出の中でも綺麗で美しい青春を飾る思い出の一つとして輝くんだろうなと思った。しばらくして、誰かが呼びに来た。誰だったか。もうすぐ帰るよ、と。夜の星空に慣れた目は神々しく輝く人工的な光が眩しく感じられるほどあの空間にいたことを実感させた。戻ると、部長がしゃぼん玉で遊んでいた。途中から、しゃぼん玉のなかにしゃぼん玉を入れる技術を付けて写真大会になっていた。しゃぼん玉液が無くなると、みんなは支度をして車分けを始めた。ホストは実家だから、帰らず行きとは違い車3台で帰る事になった。

私は、先輩に呼ばれて山を登るとき一緒だった先輩の車に乗って一番に帰ることになった。先輩2人とお母さまに挨拶して今日一日お世話になりました、と伝えた。それからそのメンバーでコンビニに寄ってなぜか抹茶ラテを奢ってもらい、さらには夜も遅いのに天下一品に行って馬鹿話をしながら一人暮らしの家に乗り換えなしでいける電車まで送ってもらった。天下一品ではなぜかサイレントサイレンとコラボしていて壁に大きくサイサイの写真が貼ってあったり、MVが流れていたりカオス空間だった。運転してくれた先輩がバイト先の先輩から電話がかかって来て席を外した時に、もう1人の先輩に聞きたかったことを聞いてみた。先輩、誰かと付き合わんのですか、と。そうしたら、いや〜あまり人に興味ないのかもしらんわ、と言うので、興味ないのと違って、私は言い方悪いですけど大学生の恋愛みたいなのが苦手なだけじゃないですか、と言ってみた。そうしたら、まあそうかも、別れるんだったら付き合わなくてもって思うな、と言ったところで電話の先輩が帰ってきて普通の会話に戻った。

あとは車でUFOキャッチャーの話、パチンコの話を聞いたりしていた。あとはB'z。ずっと面白かった。嫌な緊張もないし。最後も有終の美で終わった。なんだか、久しぶりにいい休日だった。先輩の言葉を借りるならそんな日だった。f:id:Chloe61:20180918213507j:image