13:28

狂人日記というクトゥルフシナリオをご存知だろうか。此のシナリオを通過したとき、常に頭にあった「私こそが狂っていて癲狂院に入れられてしまうのではないか。」此の偏執的にも似た考えが離れなかった。其れが今になってずっと面白いと感じる。他のシナリオでは考えたことの無い、常に周りに警戒を続けて砂地獄に落ちていく感覚。砂漠の中で立ち尽くし、暑さに喘げど助けなど来るはずもなく縋り付くのは細い切れそうな糸でしか無く。常に張られた緊張の糸はほんの些細な事でぶつり、と音を立てて千切れそうだった。

此れ以上ない程、良いシナリオで謂わば私の中で傑作とも取れるものだった。覗き込んだ井戸の底に自分が映ったはずなのに其れが人の形をしている、と目に映ったものを肯定できない様な足元が崩れていく感覚が心地よかった。完全にあの明治の言いようもない時代の狭間に迷い込んでしまった。アリス。そんな気分だった。

(追記)13:39

小林美代子さんの「髪の花」が読みたい。いつか、私の狂人日記の本を出したい。