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人を好きになればなるほど身が黒く染まっていくような感覚に陥る。心臓が痛い。足先は冷え、涙が出る。とめどなく溢れるような涙ではなく、ただ只管につう、と蛇口をきつく閉め忘れたようなそんな感じさえする。幸せな時ほど、雑に扱ってしまう。そんなことにさえ気付かず、後からこうなってずっと後悔を続ける。胃も痛い。ぐるぐると不快感が腹に溜まり、解消する気は無いのかと尋ねられては首を横にふる。この感情を知られたくは無いのだ。迷惑だろう。むしろ、終わってくれれば思い出にして綺麗な宝石に後からいくらでも加工する事ができるのに、と原石の泥に向かって声をかける。素知らぬ顔で身体を蝕む感情が憎い。耐えろ、耐えろと嘲笑うような身体の不調が全身を巡る。溺れている。喘ぐ口元には空気が足りなくただはくはくと求めるものは手に入らないのに動き続ける。助けて欲しいけれど、この痛みが証明のように感じてしまうのなら、他の助けは目にも耳にも入らない。消化不足の言葉を腹にかけこみ痛みさえ愛すなど。