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大阪旅行の最後、商店街でよく耳にした曲が流れているのに気づいた。ただ、歌っている人がどうも知っている曲と一致しなく一緒に大阪に行った友人に聞いた。

柴咲コウじゃない?あのドラマの主題歌のさ、

ドラマの主題歌で心当たりはあった。それと同時に胸がギュッと締め付けられるような感覚に陥った。だって、その曲は。私がもうとっくに克服したと思っていた先輩への思いが詰まりすぎる曲だったから。初めて先輩が弾き語りしていた曲で。先輩の片思いの曲で。2人とも実らない片思いの苦し過ぎるはじまりの曲だった。なんで、このタイミングでと思いながら、でも変わったはず、変わりたいと願う自分と変わらないでホッとしてしまう自分がいてやけに周囲の音がぼやけた。友人に呼びかけられても頭の中はそればかりで、思考を振り払えなくズルイよ、と1人頭の中でぼやいていた。

その先輩がさっきラインのBGMを変えた。今年の夏だったか、秋だったか、私がよく聴いた曲だった。先輩とは一切ラインしていない。そういう約束だし。実際、学祭で会ったけど喋ったらきっとダメだと思って、喋れなかった。喋らなかった。のに。

昨日は高校時代の友人と先輩と唯一デートした場所に行った。なぜ、このタイミング。ああ、本当にずるい。